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2021/05/31

飲食店開業の際に使える助成金をご紹介!助成金と補助金の違いは?

飲食店開業の際に使える助成金をご紹介!助成金と補助金の違いは?

今回は記事では飲食店開業の際に使える助成金や補助金を紹介します。

助成金と補助金はどう違う?

助成金と補助金は似ているようで少し違います。

具体的には助成金を支給するのは厚生労働省で、補助金を支給するのは経済産業省です。しかし助成金と補助金の違いは単に支給をする省庁が違うということだけではありません。

助成金は条件を満たせば必ずもらえる

助成金は条件を満たせば必ずもらえます。 そのため、実地検査がある場合もありますが、公表されている基準を満たせばどんな企業であっても支給されるものです。

ただし、助成金は厚生労働省が支給しているということもあり、社員に対して会社が給料面や給料以外の待遇面などで優遇をしたときにもらえることが多いです。つまり企業によっては、助成金を受け取るために社内の働き方を改革することでむしろ損をしてしまうという場合もあります。

また、損にはならないにしても結果的にそれほどプラスにはならないということも多いです。従業員の待遇を良くすることで離職率は低くなるので、その点でプラスにはなるでしょう。

補助金は審査に通ることが必要

補助金は経済産業省が支給するもので、条件を満たしても審査が通らなければ支給されません。

また、融資と違って返済義務がないものだと思われがちですが、補助金であってもある程度の利益が上がれば返済をしなければならない場合もあります。 しかし、返済できなくなったとしても借金として残ることは無いので、非常に人気があり倍率も激しいです。

そのため、補助金は一応申請しておいて、もらえたらラッキーだという程度に留めておきましょう。

飲食店が受給できる可能性のある助成金

飲食店であっても自給できる可能性のある助成金はどのようなものがあるのでしょうか。助成金は一般企業向けに作られている制度ですが、助成金によっては条件を満たせば飲食店でも自給できるものもあります。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は従業員の待遇を良くしたり、福利厚生を充実させたことによって受け取ることができる助成金です。

飲食店の場合だと、アルバイトとして雇った従業員を正社員に雇用したり基本給の賃金をあげたりした場合助成金が支給されます。

具体的には厚生労働省によると以下のようなコースがあり、それぞれ条件を満たすと助成金が支給されます。

  • 正社員化コース 有期雇用労働者等の正規雇用労働者・多様な正社員等へ転換等した場合に助成

  • 障害者正社員化コース 障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等へ転換した場合に助成するもの。

  • 賃金規定等改定コース 有期雇用労働者等の賃金規定等を改定した場合に助成するもの。

  • 賃金規定等共通化コース 有期雇用労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに設け、適用した場合に助成するもの。

  • 諸手当制度等共通化コース 有期雇用労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の諸手当に関する制度を新たに設け、適用した場合、または有期雇用労働者等に対し、労働安全衛生法上義務づけられている健康診断以外の一定の健康診断制度を新たに規定し、適用した場合に助成するもの。

  • 「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」 労使合意に基づく社会保険の適用拡大の措置の導入に伴い、その雇用する有期雇用労働者等について、働き方の意向を適切に把握し、被用者保険の適用と働き方の見直しに反映させるための取組を実施し、当該措置により新たに被保険者とした事業主に対して助成するもの。

  • 「短時間労働者労働時間延長コース」 雇用する有期雇用労働者等について、週所定労働時間を5時間以上延長又は週所定労働時間を1時間以上5時間未満延長するとともに基本給の増額を図り、新たに有期雇用労働者等が社会保険の被保険者に適用した事業主に対して助成するもの。

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金は、職業経験があまりなく安定的な就職が困難な求職者を、ハローワーク等からの紹介を受け一定期間雇用した場合に支給される助成金です。

原則として3カ月間はトライアル雇用をしなければなりません。飲食店としては、常に人手不足で悩ませることが多い職場なので、場合によっては一石二鳥となることもあるでしょう。

厚生労働省によると受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。

  • 対象労働者がハローワーク、または職業紹介事業者の職業の紹介日において、次のいずれにも該当しない者であること。

    • 安定した職業に就いている者

    • 自ら事業を営んでいる者又は役員に就いている者であって、1週間当たりの実働時間が 30 時間以上の者

    • 学校に在籍している者( 在籍している学校を卒業する日の属する年度の1月1日を経過している者であって卒業後の就職内定がないものは除く。)

    • トライアル雇用期間中の者

  • 次のいずれかに該当する者

    • 紹介日前2年以内に、2回以上離職又は転職を繰り返している者

    • 紹介日前において離職している期間が1年を超えている者

    • 妊娠、出産又は育児を理由として離職した者であって、紹介日前において安定した職業に就いていない期間(離職前の期間は含めない。)が1年を超えているもの

    • 紹介日において、ニートやフリーター等で55歳未満である者

    • 紹介日において就職支援に当たって特別の配慮を有する次のa~iまでのいずれかに該当する者

      • 生活保護受給者

      • 母子家庭の母等

      • 父子家庭の父

      • 日雇労働者

      • 季節労働者

      • 中国残留邦人等永住帰国者

      • ホームレス

      • 住居喪失不安定就労者

      • 生活困窮者

  • ハローワーク・紹介事業者等に提出された求人に対して、ハローワーク・紹介事業者等の紹介により雇い入れること

  • 原則3ヶ月のトライアル雇用をすること

  • 1週間の所定労働時間が原則として通常の労働者と同程度であること

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)

人材確保等支援助成金社員の処遇や研修制度、健康づくり制度、メンター制度の4つの雇用管理制度を導入する計画を作成して、管轄の労働局の認定を受けると支給されることができます。

飲食店であっても従業員のためにこれらの制度について計画をして、労働局から認定を受けると、助成金を受け取ることができます。

社員の待遇をよくして離職率を下げることも、飲食店の経営において重要なことなのでぜひ検討してみましょう。受給するためには、事業主が、次の措置を実施することが必要です。

  1. 雇用管理制度整備計画の認定 次の1~5の雇用管理制度の導入を内容とする雇用管理制度整備計画を作成し、管轄の労働局の認定を受けること。

    1. 諸手当等制度

    2. 研修制度

    3. 健康づくり制度

    4. メンター制度

    5. 短時間正社員制度(保育事業主のみ)

  2. 雇用管理制度の導入・実施 雇用管理制度整備計画に基づき、当該雇用管理制度整備計画の実施期間内に、雇用管理制度を導入・実施すること。

  3. 離職率の低下目標の達成 「雇用管理制度整備計画の認定」、「雇用管理制度の導入・実施」の実施の結果、雇用管理制度整備計画期間の終了から1年経過するまでの期間の離職率を、雇用管理制度整備計画を提出する前1年間の離職率よりも、目標値以上に低下させること。

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金とは、トライアル雇用助成金の対象となる人よりもさらに働くことが困難な高齢者や、重度の障害者等を雇用した場合に支給される助成金です。

飲食店の仕事の中で、このような人たちであってもできるような仕事があれば、雇用してこの助成金を受け取ることを検討しても良いのかもしれません。飲食店の業務の中には単純作業も多くあり、比較的導入はやりやすい制度です。

本助成金を受給するためには、 厚生労働省によると次の要件のいずれも満たすことが必要です。

  • ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等 ※1 の紹介により雇い入れること

  • 雇用保険一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用すること ※2 が確実であると認められること。

※1 具体的には次の機関が該当します。

  • 公共職業安定所(ハローワーク)

  • 地方運輸局(船員として雇い入れる場合)

  • 適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者等 特定地方公共団体、厚生労働大臣の許可を受けた有料・無料職業紹介事業者、届出を行った無料職業紹介事業者、または無料船員職業紹介事業者(船員として雇い入れる場合)のうち、本助成金に係る取扱いを行うに当たって、厚生労働省職業安定局長の定める項目のいずれにも同意する旨の届出を労働局長に提出し、雇用関係給付金に係る取扱いを行う旨を示す標識の交付を受け、これを事業所内に掲げる職業紹介事業者等

※2 対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が継続して2年以上であることをいいます。

雇用調整助成金

雇用調整助成金は、従業員に支払う休業手当等にあてられる助成金です。

景気変動による急な業績悪化など経済上の理由で、店を休業したり、従業員を勤務させられなくなった場合に適用されます。新型コロナウィルス感染症の影響により設けられたコロナ特例も、雇用調整助成金制度によるものです。

雇用調整助成金を活用することで、従業員の給与を補填でき離職を抑えることができます。他と同様補助金額には上限があるので、事前に確認しておきましょう。


飲食店開業の際に使える補助金

助成金を受け取るには、社員の待遇を良くしたり、会社としてはある程度負担をした上で受け取ることが多いです。

一方で補助金は良案だと判断されれば支給されるので、申請するための時間的負担はあるものの、特に受給するために特別な投資をしなければならないということはありません。

そのような特徴もあり、補助金は非常に人気が高く、申請しても受け取れるかどうかはわからないので、飲食店開業の際はあまり補助金の支給を見込んで計画はしないようにしましょう。

創業補助金

創業補助金は中小企業庁が担当している補助金の制度で、飲食店開業の際に多くの人が申請している人気のある補助金です。

中小企業庁の地域事務局は各都道府県にあるので、最寄りの市区町村の窓口で申請するということになります。注意点として創業補助金は常に受け付けているというわけではなく、毎年春ごろの1ヵ月程度の期間のみ受け付けており、うまく開業のタイミングで申請できるとは限りません。

また、審査に通ったとしても補助金がもらえるのは数ヶ月先のことなので、あまりあてにはせずに審査に通ったらラッキーだという程度に留めておきましょう。融資ではなく最大200万円の補助金の支給という形のため、基本的には返済不要ではありますが、補助金を受給してから一定の期間内に一定の利益を上げると返済義務が生じる場合があります。

創業補助金として認められる条件は以下の3つです。

  • 使用目的が事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費

  • 交付決定日以降、補助事業期間内の契約発注により発生した経費

  • 証拠書類等によって金額支払等が確認できる経費

つまり店舗の家賃や設備費、人件費広告費などが控除の対象となります。逆に補助金の対象にならないのは、消耗品費、水道光熱費、通信費、接待費などです。

デメリットは事業計画書や申請書を提出する手間がかかるということくらいで、申請によるリスクなどはありません。審査が厳しいからどうせ通らないと決めつけて申請しないよりは、念のため申請しておくことをおすすめします。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は創業補助金と同じく、中小企業庁が実施している補助金制度で、こちらも飲食店開業の際は多くの人が申請している人気の補助金です。

50万円が上限で飲食店を経営する金額としては少ないですが、創業補助金と違って、1年の中で受付の期間が多くあり、2020年の場合は全部で5回の受付の期間がありました。

こちらも多数の人が申請しており、競争が厳しいものとなっています。

ただし事業計画書などを作成する場合は、商工会議所の助言や指導を受けることができるので、経営するのがはじめての人にとっては心強い味方となってくれます。

この時作った事業計画書は銀行など他の場所で融資をお願いする時にも役立ちます。事業計画書を作成することはこれから経営者としてやっていく上で重要なことなので、ここで申請をするついでに書き方を学んでおいても損はありません。

事業再構築補助金

新型コロナウィルス感染症やウクライナ情勢、原油・物価高騰の影響によって経済状況が変化する中、新しい業態への参入や転換を図ろうとする中小企業を主な支援対象とした補助金制度です。例えば、テイクアウト事業への参入やECサイト販売の開始などの事例が挙げられます。

下記の7つの枠で構成されています。

1. 成長枠(旧 通常枠)
 2. グリーン成長枠 
3. 卒業促進枠
 4. 大規模賃金引上促進枠
 5. 産業構造転換枠 6. サプライチェーン強靱化枠
7. 物価高騰対策・回復再生応援枠


上限額が大きく大規模な補助金額となるため、審査基準も厳しくなっています。

IT導入補助金

ITを導入し業務の効率化、DXの推進、セキュリティ対策を行うための一部費用を支援する補助金制度です。大きく分けて3つの枠があります。飲食店で特に申請が多いのは、デジタル化基盤導入枠「デジタル化基盤導入類型」です。会計・決済システムの導入、セルフオーダーシステムの導入などの目的で申請する事例が多くなっています。

ものづくり補助金

新製品やサービスの開発、生産プロセスの改善を目的とした機材導入などを支援する補助金制度です。一般型に分類される5つの枠とグローバル展開型があります。飲食店は「新製品・新サービス開発・生産プロセスの改善に必要な設備投資及び試作開発を支援」する通常枠の申請例が多くなっています。

中小企業や小規模事業者が対象になっており、3〜5年の事業計画を策定し提出する必要があります。

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継のタイミングで、新しい取り組みを始める中小企業・個人事業主を対象に必要経費を一部補助する制度です。M&A補助金とも呼ばれています。事業承継や事業再編・統合を促し、経済を活性化することを目的としています。

「事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)」「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)」「事業承継・引継ぎ補助金(廃業・再チャレンジ)」の3つの枠があります。

さらに「事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)」は、創業支援型、経営者交代型、M&A型の3つに、「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)」は、買い手支援型、売り手支援型の2つに分かれます。

地方自治体ごとの助成金・補助金制度

国による助成金・補助制度のほかに、都道府県による地方自治体ごとの制度もあります。

飲食店で活用できるものも多くありますが、実施内容や期間はまちまちで情報も日々更新されています。特に新型コロナウィルス感染症の影響に伴い、各自治体では様々な助成金・補助金制度が実施されました。

東京都の事例としては、テイクアウトや移動販売を支援する業態転換支援や、行動緩和後の経営基盤強化支援が行われました。自治体ごとのホームページや情報サイトなどで、定期的に最新情報を確認するのが良いでしょう。

飲食店を支援する制度

助成金や補助金以外の飲食店の支援制度として、国税納付の猶予制度があります。

国税納付の猶予制度

様々な事情によって国税の一括納付が困難な事業者に対し、最大で1年間納税の猶予期間が与えられる制度です。今回の新型コロナウィルス感染症の影響によるものに限らず、事業活動の継続が難しくなった場合の、飲食店に対する救済措置となります。

猶予の条件はいくつかありますが、これまで納付を滞納していないことが基本条件です。納付が発生するまでの6か月以内に申請する必要があるので、納税できるか不安な場合は最寄りの税務署に相談してみましょう。

助成金・補助金には税金がかかる?

助成金や補助金は「雑収入」、「雑所得」にあたり、収入とみなされるので課税対象になります。しかし、基本的には助成金・補助金の大半が費用の3分の2などの上限があるため、収入が経費を上回ることはありません。よって税金がかからないケースがほとんどです。

ただし、高額な設備投資を行い減価償却費として計上すると、所得が発生してしまい課税対象になる場合もあるので注意が必要です。

助成金・補助金は開業資金にできる?

結論から言うと、助成金・補助金は開業資金として使うことはできません。助成金や補助金などの補助制度は、融資とは異なり事業者が負担した経費の一部があとから支給されるものだからです。

また、補助金は申請しても審査があり受給できるか分かりません。仮に受給できたとしても、申請から実際に補助が下りてお金が支給されるまでに長い場合1年ほどかかります。

開業資金は、あくまで自己資金や融資で調達するものだと考えておくべきでしょう。


まとめ

飲食店開業の際に使える補助金と助成金を紹介しました。補助金は条件を満たしてもらえるかどうか分からないので、もらえたらラッキーだという程度に留めておき、あまり補助金が受け取れることをあてにして予算の工面などをしないようにしましょう。

また助成金については、無理に助成金を取るために経営のあり方を変更してしまうと、むしろ損をしてしまう可能性もあります。

助成金については制度の内容をしっかりと理解し、自分たちの飲食店でも使えるのかどうかを考えてから助成金の取得を目指すようにしてみましょう。